2014年6月9日月曜日

加古里子さんからのメッセージ 『だるまちゃんとにおうちゃん』について



『だるまちゃんとにおうちゃん』(こどものとも2014年7月号)刊行によせて、著者の加古里子さんが、メッセージを寄せてくださいました。『だるまちゃんとにおうちゃん』が生まれる基となった小さな少女の存在など、加古さんの子どもに対する温かい思いにふれることができます。ぜひ、読んでみてください!!

- - - - - - - - - 加古里子さんからのメッセージ- - - - - - - - - - - - -

新作『だるまちゃんとにおうちゃん』について かこさとし

だるまちゃん絵本の初出は昭和42年(1967)でしたが、その後、国際性と日本的な郷土玩具だるまと、相手役を二百ほど選び、夫々の筋書きをノートに溜めていました。その中の「におうちゃん」は、東京で戦災後、各地を転々、敗戦混乱の中、宇治市の黄檗山萬福寺に辿りついたものの、生活も人生の目途も失い、萬福寺の隅で腰を下ろし茫然としていた折、浅ましい大人と異なり、嬉々と遊ぶ子の生命力に触れ、特に食料難で町から消えていた子犬をつれた女の子の姿に強く励まされた印象が基底になっています。半世紀後ようやくお目にかける訳ですが、前記二百の組合せの中、たった8作しか上梓できないのは、誠に慚愧の至り、努力不足をお詫びする次第です。

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