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2015年2月4日水曜日

雪とともに生きる雪国の営みを描いた『ゆきのひ』


今日は加古里子さんが1966年に描かれた『ゆきのひ』をご紹介します。
 http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.php?goods_id=235 

りっちゃんがすむ村に、空からふわりふわりと白いものがふってきました。初雪です。りっちゃんのお母さんは、野菜をむろ(室)にしまい、友だちのとよちゃんのおじいちゃんは、ゆきがこいをしっかりしました。

雪国の初雪の情景からはじまる『ゆきのひ』は、雪国の子どもと大人たちが、雪とよりそいながら暮らす冬の日々を描いた作品です。雪合戦にスキーにかまくら あそび……。雪はたのしいひとときを運んできてもくれますが、吹雪で電線をきってしまったり、線路をうめてしまったりもします。

よいしょ よいしょ うんしょ うんしょ
うんとこ どっこい ふぶきに まけるな

雪国である福井県で生まれ育った著者・加古里子さんの素朴な絵と文体からは、雪に喜び苦しみながらも雪とともに生きる人々のあたたかな息づかいが感じられ ます。雪国の情景も現代ではずいぶんかわってしまいましたが、人々の息づかいは今も変わらないのではないでしょうか。

今日は立春ですが、まだまだ寒い日が続きそうです。雪の絵本なのに、ページをめくるたびに不思議とあたたかな気持ちになる『ゆきのひ』の世界をお子さんと一緒に味わってみてください。

★『ゆきのひ』の原画展が開催中です★
福井県・越前市の“かこさとしふるさと絵本館「石石(らく)」”では、「冬の展示」として3月8日(日)まで『ゆきのひ』の原画とともに加古さんが越前市で体験した冬の暮らしや遊びの展示を開催しています。
http://www.city.echizen.lg.jp/office/090/050/kakosatosi/


2014年8月22日金曜日

メルマガ書き下ろしエッセー! 「だるまちゃんといっしょにあそぼう」

福音館書店から月2回(第一水曜日・第三水曜日)に配信している、「あのねメール通信」に、加古里子さん書き下ろしのエッセイを連載中(第三水曜日配信分)です。4月から1年間季節にあった遊びをたっぷり取り上げていただく予定です。

今週配信の8月号では「手ぬぐい金魚」の遊び方をとりあげています。過去に取り上げた遊びは、4月たんぽぽの風車」、5月「新聞紙の帽子」、6月「しじみつり」、7月鬼ごっこです。来年3月まで続きますので、ぜひこの機会に「あのねメールマガジン」にご登録してみてくださいね。お申し込みはこちらからどうぞ!

また加古さんおすすめの身近な遊びについては、6月に限定復刻された『日本伝承のあそび読本』でもたっぷりご紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

2014年7月24日木曜日

『日本伝承の あそび読本』が、限定復刻しました

加古里子さんによる『日本伝承の あそび読本』が、限定復刻しました。

新聞のかぶと帽に、糸巻きブルドーザー、ハンカチでつくるネズミに髪飾リボン、しろつめ草の花冠、草の茎でのひっぱり相撲……。ページをめくると、子どものときに家族や友だちと楽しんだ懐かしい遊びがたくさんでてきて、うん十年前にタイムスリップ!!

子どもたちの世界の中で、子どもたちが受け継いできた、素朴で工夫にみちた「あそび」たち。そんな数々の「あそび」を、子どもたちの中でこれからも受け継いでいって欲しい。『日本伝承の あそび読本』はそんな加古里子さんの思いから、高度経済成長の中、子どもたちを取り巻く環境が激変しつつあった1967年に刊行された作品です。このたび、当時の構成のまま限定復刻いたしました。

他にもあやとり、指あそびに絵描き歌、台所のたまごを使ったコマあそびや、ビールの王冠でつくる腕時計などなど……。

親子で遊びながら、「身近なもので、工夫して遊ぶことの楽しさ」をたっぷりと味わってみてくださいね。そしてそれらの「あそび」が、お子さんを通じて園や学校の友だち、そしてさらにその友だちへと広がり、子どもたちの世界の中で受け継がれていったら、こんなに素敵で嬉しいことはないと思っています。

『日本伝承の あそび読本』は、ハンディサイズで持ち運びにも便利!もうすぐはじまる夏休みの旅行やキャンプにもぜひぜひ一緒に持っていってみてください。きっと楽しい時間がすごせますよ。

加古里子さんの元にお伺いした際、ハンカチネズミの制作を実演してくださいました!



2014年6月2日月曜日

「だるまちゃん」と「マトリョーシカちゃん」の関係は?

「だるま」と「マトリョーシカ」。どちらも加古里子さんの作品のモチーフですが、実はこの2つは加古さんの絵本の中では切っても切れない関係だったのです。

加古さんは東京大学工学部卒業後、民間企業の研究所に勤務しながら、セツルメント(*注)での活動を通して、子どもたちが遊ぶ姿を目の当たりにしながら、紙芝居や幻灯を作って発表していました。

子どもたちの喜ぶ作品の参考になればと、仕事の合間をぬって敗戦後GHQの建てたCIE図書館(*)で外国の絵本の棚を見ているうち、ソ連の絵本にひかれていき、ソ連時代の子供向けの月刊「絵本雑誌」を1950年くらいから定期購読するようになりました。

そのバラエティーの豊かさとおもしろさに感銘を受け、その内容を紙芝居に活かして子どもたちに披露したこともあったそうです。

そんな中で、目についたのが「マトリョーシカちゃん」という絵本でした。ソ連の郷土玩具が一堂に会して展開していくお話を読んで、日本の玩具でもこれをできないだろうかと思いついたのが、だるまちゃんが誕生するきっかけでした。

当時の日本の絵本は、敗戦での国家主義への反省の影響からか、日本的なものを出さず無国籍な雰囲気の絵本が多かったそうです。自国の特徴を郷土玩具で描き出せれば、日本の民族性を表現できるのではないかという思いから、郷土玩具を色々考えて「だるまちゃん」という登場人物がうまれたというわけです。

その後、『マトリョーシカちゃん』は原作に忠実なオリジナル絵本として、「こどものとも」で発表され、こちらも子どもたちに長い間読み継がれています。

国は違えど、同じ郷土玩具同士。「だるまちゃん」と「マトリョーシカちゃん」は実は親戚のような関係なのかもしれませんね。

*セツルメント:都市の貧困地区に、宿泊所、託児所などの設備を設け、住民の生活向上のための助力をする社会事業およびその施設。
*終戦後、GHQが日本の主要都市に設置した図書館。

★『マトリョーシカちゃん』について
 http://www.fukuinkan.co.jp/bookdetail.php?goods_id=234
★福音館書店 みんなの人気者だるまちゃん
http://www.fukuinkan.co.jp/ninkimono/daruma/index.html