米寿を迎えられ、なお旺盛に「だるまちゃん」シリーズや「からすのぱんやさん」シリーズ(偕成社)などの創作を続けられる加古里子さんが、自らの来し方を振り返りつつ、絵本にこめる思いを語り下ろした『未来のだるまちゃんへ』が文藝春秋より刊行されました。 <文藝春秋の特設サイトはこちら>
福井県武生(現越前市)の「小自然」にかこまれて生き生きと過ごし、絵や本が好きだった少年時代のこと。だるまちゃんのおとうさん「だるまどん」にちょっと似ていて、幼い加古さんに愛情をたっぷり注いだお父さんのエピソード。軍国主義がこくなりつつある中、航空士官として軍人を目指すも、視力の関係であきらめ、技術者を目指した高校生時代のこと。
敗戦後苦労の多かった生活を経て、セツルメント活動で出会った子どもたちの生き生きとした様子や、会社員と絵本作家との二足のわらじをはきながら絵本の創作活動を続けたことなどが語られています。
大人として、絵本作家として、震災や原発とどう向き合うか、ひいては戦争をどう伝えていくのかも語られています。子どもたちのあるがままの姿をしっかり見つめながら、自らの使命を真摯に考える加古さんの姿勢に、読む者も背筋がのびるような内容となっています。
また福音館書店では、加古さんが自らの歩みを振り返りながら、子どもの紙芝居や絵本、特に科学絵本についての考察を述べた『加古里子 絵本への道』という本も刊行しています。加古さんの創作の秘密を知りたい方は、ぜひこちらもお手にとってみてください。