らくがき遊びを楽しんだペンキの色の秘密
『だるまちゃんととらのこちゃん』では、だるまちゃんととらのこちゃんが鮮やかな赤と黄色の泥(土)のペンキをつかってらくがきを楽しみます。赤いペンキはだるまちゃんの色。黄色いペンキはとらのこちゃんの色。この点に気づかれた方は多いかと思います。実はこの2色にはさらに深い意味が込められているのです。
巻末の作者のことばで加古さんはこうおっしゃっています。
「業界通用語に”きあかべた”というのがあって、子どもの玩具や表装には”黄やあかの色をベタッと使うのがよい”という意なのです。だるまちゃんは赤い体なので、黄色いとらのこちゃんに組んでもらい、そのため虎の国との国境に黄土と赤泥を伏線としておき、更に”黄赤歌”各場面でうたってもらったという訳です」
物語に加えて色なども、子どもにとって良しとされるものを提供したい。そんな、子どもを第一に考えた作品づくりをされる、加古さんらしい思いが込められていました。
また、国境での土の色の変化など、よく絵を見なければ気付かないような細工からも加古さんらしさを垣間見ることができます。
是非、さまざまな仕掛けを楽しみながら、じっくりと何度も読み返してみてください。